「不通則痛」、これは「気が通っていなければすなわち痛みが出る」という意味です。
また「通則不痛」とは、「気が通れば痛みはなくなる」という意味です。
痛みがあるというと西洋医学的にはその場所に物理的な問題があると考えます。
普通、腰痛や、膝などに痛みがあって病院に行くと、痛み止めを出されたり、熱をかけられたり、牽引されたり、場合によっては理学療法士にマッサージされたりするでしょう。これは、筋肉や筋、神経に問題が起こっていると考えるからです。
もちろんこれらが全く効果がないとは言いません。筋肉をマッサージしたり、熱をかければ気が流れやすくなる可能性は少しあるからです。
特にマッサージは人の手で行うので、気の流す力の強い人が行えば、かなり調子がよくなる可能性もないとは言えません。
しかし、熱を当てたり牽引したりしても、通常はその場しのぎで、またすぐに痛みがぶり返してしまいます。
気功や東洋医学の考え方では、先ほど描いたように痛みの原因は気の流れが滞ることにあると考えて、そこを解決することに主眼を置いて治してゆくわけです。「気の流れ」は血液やリンパ液などの物理的に見える流れではないので、治し方も西洋医学的な方法とは全く異なりますし、基本的には経絡図から、痛みの原因である経絡を通る気の流れを通すことが重要になります。
私は気が通らなくなることで痛みが出るという考え方は経験的に見ても正しいと確認しています。もちろん4,000年以上にわたって変わらず言われ続けていることなので、正しいのは当然といえるでしょう。
皆さんは「椎間板ヘルニアは手術しても痛みが消える率は半分程度」という話を聞いたことはありませんでしょうか?
実際に椎間板ヘルニアで痛みがあるときに物理的に飛び出している軟骨を外科手術で取り除いても、痛みが消えないことは多いので、良心的な整形外科の先生はあまり手術を勧めません。
ところが、腰痛の人が、内気功をやっていると、しばらくすると徐々に痛みが消えてきます。
つまり、目には見えませんが気が流れるようになって痛みが無くなってゆくのです。
首の痛みや、膝の痛みなども、内気功をしていると痛みを和らいだり感じなくなったりします。
これは、痛みが必ずしも物理的な原因だけではないということを如実に示すものです。
私は顎関節症を主に扱う歯科医で、歯からくる様々な痛みや不調で悩んむ方の診療をしてきました。
そこでよく遭遇するのは、きちんと物理的には正しいと思われる治療を行っても痛みが取れないことが少なからずあるという事実です。
そこから真の原因は物理的な問題だけではないと考えるようになり、そうこうするうちに自分が不調で苦しみ気功を習得することになったのです。